2017年7月度セミナーseminar
虫は、誤って口に入れたとしても健康を損なわないものと言われ、数年前までは、多くの食品等メーカーにおける品質管理、リスクマネジメントの項目の中では、重要性は高くないものではなかったかと思います。ところが、昨今では、メーカーが製品に虫を混入させてしまった場合の対応の不備やSNSによる拡散により、経営上の大きなダメージになる時代となっていることは言うまでもありません。メーカーとしてそのリスクに見合った管理手法、状態の確立はできているでしょうか。
そこで、実際の製造現場で行われている防虫防鼠に関する取り組みについて、専門的立場、およびメーカーの立場から、事例を中心に紹介しました。
開催日:2017年7月11日(火)/2017年7月14日(金)/2017年7月21日(金)
会場:広島 、大阪 、東京
受講者の声
セミナー後にお客様からいただきましたご意見・ご感想の一部を紹介いたします。
- 実際に取り組みのある話だったので、実用性がとてもみられました。
- これから設備の改善について上司に提案できるような内容だった。
- 自社の取り組みを見直し向上させるきっかけがつかめました。
- 単なる防虫対策で終わらず、改善につなげる具体的な事例がわかりやすかった。
- 昆虫混入時において観察を行うことの重要性とSNSへの投稿時の対応方法など大変勉強になりました。
- 問題を解決するだけでなく、原因は何か要因を考えていきたいと思った。
- 自社による防虫管理について参考になりました。防虫に対する意識がすばらしい。
- 安心、安全の製品の説明はわかりやすく、他への説明にも活用できそう。
- 自社対応と世の中での対応にずれがないか確認できた。
- 異物混入発生時のスピード対応は見習わなければいけません。
- 防虫対策だけではなく、微生物対策にも応用できる考え方だった。
講演内容
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■講演1■ 虫の混入事例とその原因、対策について
製品異物の中で、実質的に健康危害に結び付かないとされる虫ですが、実際に混入すると、製品回収にもつながりかねない状況であり、メーカーにとっては大きな危害要因となっています。一方で、虫の生理・生態はおろか、分類についても未知の部分が多く、虫の種類の特定や混入原因の推定は困難なことも多いのが現状です。
東洋産業㈱では、食品や医薬品、包装資材などのメーカーから委託された虫異物の分析を30年以上にわたり実施してきた実績があり、本講演では、虫の種類の特定や、生態、試験データに基づく推定等を交え、原因究明と再発防止へと役立てることができた事例を紹介し、虫異物の混入防止対策のポイントを解説いたしました。■講師■
東洋産業株式会社 大 野 竜 徳 -
■講演2■ 設備・防虫防鼠の一元管理の有効性
防虫防鼠管理の中で、レスケミカル、ノンケミカルが求められる昨今では、清掃および設備による防虫防鼠が中心となっています。特に設備については、その分野の専門性と防虫防鼠の専門性を両立させることが難しいといえます。例えば、空調設備はしばしば虫の侵入や発生、微生物の発生などの問題を起こしますが、これを防止するには、空調設備そのものの特性に加え、製造設備の特性とそこに問題を引き起こす可能性のある生物についての知識が必要となります。
ここでは、それぞれの専門家がひとつの窓口となることによるメリットについて、品質面にとどまらず、情報共有や解決までのプロセスの減少による効率化、一元化によるコスト削減に関することまで、事例を交えて紹介しました。■講師■
東洋産業株式会社 吉 田 篤 史 -
■講演3■ メーカー報告~オハヨー乳業の自社防虫防鼠管理
オハヨー乳業㈱は、防虫・防鼠管理の基本部分を専門業者に委託するスタイルから、専門業者の補助のもとで調査や対策を含めた自社管理に移行し、自社管理の有効性を生かしつつ、専門性の質を高めてきました。
本講演では、2003年より開始した自社管理へ向けた工場全体を巻き込んだ歩みと、自社管理を行なう中で感じたメリットとデメリット、直面した様々な課題とその克服について、事例等を交えて報告しました。■講師■
オハヨー乳業株式会社 滝 本 展 也 氏